宅地建物取引業
宅地建物取引業を営むためには、個人法人を問わず、国土交通大臣または都道府県知事の免許を取得した者でないと、行えないことになっています。これは、宅地建物取引業が広く国民の大切な財産である宅地や建物を取り扱う仕事であり、手続きや物件そのものを扱うのに、高度な専門性が必要とされるためです。
宅地建物取引業とは、宅地または建物について次のことを業として行うものとされています。
- 自ら当事者として売買または交換をすること
- 売買、交換または賃貸の代理をすること
- 売買、交換または賃貸の媒介をすること
①より、自己所有の建物を賃貸する場合は、免許は不要です。
②の代理と③の媒介の違いは、
代理とは、売主や買主、賃貸人や賃借人から依頼を受けて、これらの人に代わって代理人として契約をすること
媒介とは、売主や買主、賃貸人や賃借人同士を引き合わせ、他人間の契約のために尽力すること
です。
宅建業許可には、大臣免許と知事免許の2種類があり、事務所の形態によって許可権限者が異なります。
- 大臣免許→設置する事務所が2以上の都道府県にわたる場合
- 知事免許→設置する事務所が1つの都道府県内にある場合
なお、国土交通大臣であれ都道府県知事であれ、免許の効力には差がある訳ではなく、宅地や建物の販売や契約といった取引の業務は、免許さえあれば日本国内どこででも出来ます。
申請手数料は、大臣免許で90,000円、知事免許は愛知県知事の場合は33,000円です。
主な審査基準
事務所
継続的に業務を行うことのできる施設で、かつ独立性が保たれている必要があります。
一つの部屋を他の者と共同で使用している場合も原則として認められません。
政令使用人
従たる事務所(支店)などで代表者が常勤しない事務所に設置する従事者で、契約を締結する権限を有するその事務所の代表者のことです。
政令使用人は、その事務所に常勤しなければなりません。
専任の取引主任者
1の事務所に最低1名、業務に従事する者5名につき1名以上の割合で、取引主任者証の交付を受けた者を設置しなければなりません。
専任の取引主任者は、その事務所に常勤し、宅地建物取引の業務に専従しなければなりません。
また、専任の取引主任者に就任する人は、「取引主任者資格登録簿」に勤務先名が登録されていない状態であることが要件となりますので注意が必要です。
なお、法人が許可を受けようとする場合は、法人の定款の目的に宅建業を営むこと等の記載があることが必要です。
定款の目的に上記の記載がない場合は事前に定款を変更する必要がありますので注意して下さい。
欠格事由
代表者、役員、政令で定める使用人、専任の取引主任者が以下の欠格事由に該当する場合は、許可を受けることができません。
5年間免許を受けられない欠格事由
- 免許不正取得、情状が特に重い不正不当行為又は業務停止処分違反をして免許を取り消された場合
- 免許不正取得、情状が特に重い不正不当行為又は業務停止処分違反をした疑いがあるとして聴聞の公示をされた後、廃業等の届出を行った場合
- 宅建業法もしくは暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の規定に違反したことにより、罰金刑以上の刑に処せられたか、それ以外の法律により禁固刑以上の刑に処せられたことがある場合は、その刑の執行が終わった、又は刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない場合
- 免許の申請前5年以内に宅地建物取引業に関して不正又は著しく不当な行為をした場合
その他の欠格事由
- 成年被後見人、被保佐人又は破産手続開始決定を受けている場合
- 宅地建物取引業に関し不正又は不誠実な行為をするおそれが明らかな場合(暴力団関係者など)
- 事務所に専任の取引主任者を設置していない場合
必要書類
愛知県の場合、申請書の他、以下の書類の添付が必要になります。
審査の必要上、これら以外の書類の提出を追加で求めらる場合があります。
必 要 書 類 | 法人 | 個人 | ||
---|---|---|---|---|
新規 | 更新 | 新規 | 更新 | |
身分証明書(代表者、役員、専任取引主任者、政令使用人等) | ○ | ○ | ○ | ○ |
登記されていないことの証明書 (代表者、役員、専任取引主任者、政令使用人等) |
○ | ○ | ○ | ○ |
代表者の住民票 | × | × | ○ | ○ |
登記事項証明書(履歴事項全部証明により取得) | ○ | ○ | × | × |
総会議事録の写し (申請者が法人たる組合の場合は、法人登記外の役員の確認のため提出) |
△ | △ | × | × |
事務所平面図・間取り図 | △ | △ | △ | △ |
事務所付近の地図、写真 | ○ | ○ | ○ | ○ |
事務所使用の権利を証するもの (不動産の登記簿謄本・賃貸借契約書・使用承諾書等) |
○ | ○ | ○ | ○ |
貸借対照表・損益計算書(直前1 年の事業年度分の写しを提出) | △ | ○ | × | × |
納税証明書(所轄の税務署にて、直前1 年の事業年度分のものを取得) | △ | ○ | ○ | ○ |
供託書の写し | × | ○ | × | ○ |
常勤を証明する書面(代表者、政令使用人、専任取引主任者) | ○ | × | ○ | × |
常勤する旨の誓約書(代表者と専任取引主任者が異なる場合) | △ | △ | △ | △ |
(必須=○、条件に該当する場合必須=△、不要=×)
許可取得後
申請後、大臣免許で約3か月、知事免許で約1.5か月で免許通知が届きます。
宅建業では、免許通知があったのち、営業保証金を供託、又は、保証協会へ加入しなければ、実際に営業を開始することはできません。
<営業保証金を供託する場合>
本店を管轄する供託所に保証金を供託します。
・主たる事務所→1,000万円
・従たる事務所→500万円(1か所につき)
<保証協会へ加入する場合>
保証協会に加入し、下記の分担金を支払えば営業保証金の供託をする必要はありません。
・主たる事務所→60万円
・従たる事務所→30万円(1か所につき)
営業保証金の供託、又は、保証協会への加入が済みましたら、免許証の交付を受け、営業を開始することができます。
免許日から3ヶ月以内に供託等を行い、免許証を受領してください。
手続きを行わない場合には免許を取り消されることになります。
免許更新
宅建業免許の有効期間は、取得から5年間です。
免許の有効期間満了後も引き続き宅建業を営もうとする者は、有効期間が満了する日の90日前から30日前までの間に更新の免許手続きをすることが必要になります。
更新の手続を怠った場合は、免許が失効となり、更新の手続をしないで宅建業を営みますと、無免許営業により罰則が科されますので注意が必要です。
更新申請書類の不備などで、満了日までに手続きが間に合わなかった。
ということにならないように、更新はある程度余裕を持って準備しておくようにして下さい。
宅建業免許申請
宅建業営業許可申請(新規) | 知事 | 70,000円~ |
---|---|---|
大臣 | 100,000円~ | |
宅建業営業許可申請(更新) | 知事 | 50,000円~ |
大臣 | 70,000円~ | |
各種変更申請 | 知事・大臣 | 20,000円~ |
保証協会加入手続き代行 | 上記新規申請と同時で | 20,000円 |
宅建主任者登録申請 | 10,000円~ |